日本の世界的な生産の拠点になる中国
日本では国内の労働力などといった生産要素コストが上昇を続けているため、日本企業は労働集約型産業を東アジア各国に移転しており、中国が移転先の一つとして重要な役割を果たしている。
中国は日本の世界的生産拠点になりつつある。
富士フイルム中国投資有限公司の横田孝二総経理は「今年の年末以降、富士は世界のデジタルカメラ生産拠点をすべて中国に移転する」と話す。
オムロン(中国)有限公司の山下利夫董事長(会長、総経理を兼任)によると、オムロングループの従業員は世界全体で約3万3500人に上り、中華圏は1万3千人を超えている。三洋グループの従業員は世界全体で約11万人に上り、うち約半分が中国に分布する。
日系企業は中国に900万人を超える雇用機会を提供している。
また日本の海外投資企業の現地雇用者増加率は中国での伸びが最も速い。
今年1〜10月、中日貿易は増加傾向を維持し、輸出入総額は1919億ドルで前年同期比14.0%増加した。中国はすでに米国を抜き、日本の最大の貿易パートナーになった。
商務部や日本の経済産業省などの機関がこのほど共同で発表した「中日経済貿易協力の中長期発展プランの共同研究報告」によると、中国にある日系企業の経営 状態は良好だ。日本側の統計では、2004年に在中国日系企業の経常利益は約5800億円(約55億5千万ドル)となっている。
中国の世界貿易機関(WTO)加盟後、市場開放が進み、旺盛な消費需要がもたらされた。ここから起こった『中国特需』効果が、日本経済の復興に重要な役割を果たしている。
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研究開発の拠点を中国に移して一貫した経営体制をとる日本企業
オムロン(中国)有限公司の山下利夫董事長(会長、総経理を兼任)は「1990年代のオムロンにとって、中国は輸出生産
拠点だった。21世紀に入り、われわれは目標を定めた。中国に第二のオムロンを設立し、すべての業務・職能を中国で行うというものだ」と述べるとともに、
「われわれは2007年6月に上海で世界2番目の研究開発センター『協創』を設立した。また『レベル調整とスピードアップ』の戦略を立て、2010年には
世界全体の売上高の20%に当たる2千億円の利益達成という目標を立てている」と話す。
その他にもソニーや住友商事など多くの日本企業が中国への戦略的移転の歩みを速めている。
ソニーが中国で業務展開をスタートした当初は、主に生産・販売分野に力を集中し、中国を生産拠点ととらえていた。 2004年には、上海にソニー工程設計集団を設立すると同時に、ソニー創造センターも設立。これはソニーの研究開発の中心部分、たとえば設計機能などを中
国に『移植』したということだ。われわれは中国ですでに、製品の研究、開発、設計、生産、販売からアフターサービスに至る完全な業務運営システムを実現し
ており、これを『一貫した業務運営システム』と呼んでいる。
製造業がピークを迎え、サービス業への投資が始まる
現在、中国には6つの代表機関がある。JETROが6つの代表機関を設けている国は中国と米国だけだ。日本の対中直接・間接投資は拡大を続けており、1980年代からこれまでに3回の投資ピークを迎えている。
日本側の統計によると、現在、日本の対中投資は3回目のピークを迎えている。今年10月末現在、対中投資プロジェクトは累計3万9千件に上り、実行ベース
投資額は607億8千万ドルに達した。主な投資分野は商業、サービス業、繊維・アパレル、機械、電子、運輸機械、銀行、証券など。日本は中国にとって2番
目の外資導入由来国となっている。
日本のアジア地域における投資の中心国は主に中国で、これは変わることがない だろう。ある調査によると、今後3年間は海外で発展しようとする日本企業は、アジア地域への投資を拡大し発展するという視点を出発点にする。あらゆる国や
地域の中で、販売、生産、研究開発、地域本部や物流などの各方面にわたり、アジア地域の中国が占める割合が最も高くなる。
日本企業の非製造業分野の対中投資が今後急速に増加するだろう。たとえば省エネ、環境保護、現代型 サービス業、農業、アウトソーシング、研究開発などの分野だ。日中の文化交流促進に関わるクリエイティブ産業、文化産業などへの投資も増加するだろう。